プランクトン

プランクトンとは水中に浮いて生活し、遊泳力を持たないか運合力が弱く、もっぱら水の動きや流れに従って移動、分散するような主として小型の生物をいいます。このうち一般に光合成により水中の無機栄養塩から有機物を合成する生物を総称して植物プランクトンといい、植物プランクトンや有機物残渣等を餌とする生物を総称して動物プランクトンといいます。

目的

魚類の餌料生物としての役割―――動物プランクトン
環境汚染や浄化との関わり――――植物プランクトン
上記に関連した物質循環の一員としての役割――動植物プランクトン

採集場所

1.湖沼(動植物プランクトン)

湖沼におけるプランクトンの水平分布を調べるためには、湖沼の規模によって異なりますが、適当な間隔で5~10ヶ所の採取場所を選びます。垂直分布を調べる場合は、通常最深部を採取場所とし、一定間隔の深度ごとに試料を採取します。夏季に顕著な水温躍層を形成するので、採取は少なくとも夏季を含めて2回以上行うことが望ましいです。

2.内湾(動植物プランクトン)

内湾における採取場所は、湖沼と同じですが、湾奥部の停滞が著しい場所、養殖場、流入河川、潮汐などを十分に考慮して設定します。

採集方法

1.動物プランクトン

採水法及びネット法で採集します。

採水法 サンプル瓶をとも洗いし、採水します。
採水後中性ホルマリン5~10%を加え固定します。
ネット法 採取した試料をプランクトンネットで濾過します。または直接水中をプランクトンネットで引き、採取します。図.1直接ネットを引く場合には、濾水計をつけ て引くことで、どの程度の水を濾過したかがわかります。プランクトンネットは上部の経口20~30cm、長さ約50cm、ネットはNXX13(目開き 100μm)あるいはNXX17(目開き72μm)で、下端にコック付きのロート部を備えたものを使用します。

採集したら採取瓶の中身をサンプル瓶に入れ、何度かネットを洗い中性ホルマリン 5~10%を加えます。

図・1ネット法採集の様子 図・2プランクトンネット

2.植物プランクトン

採水法で採集します。固定液は中性ホルマリンかグルタルアルデヒド1~2%を加えます。

*グルタルアルデヒド溶液は長期間保存することはできないため、長期間保存する場合には再度中性ホルマリン1~2%を加えます。

サンプルの運搬について

採水したサンプルは出来る限り採水現場の水温に近い状態で運搬します。特に夏季、運搬に長時間を要する場合はクーラーボックスなどに入れて運搬します。

サンプルの濃縮

採集したサンプルの濃縮作業をします。採集したサンプルは、24時間~36時間静置沈澱させます。その後図.3のようにサイホンで上澄み液を濾過します小さな容器に移し替え同様に24時間~36時間放置し、上澄み液を濾過澄ます。これを何度か繰り返し50~100mlになるまで濃縮します。次に沈殿管に移し24~36時間放置し、沈殿物の量を計測し、濃縮サンプル用のビンで保します。

*:アオコが多いサンプルは、表面に浮いて濃縮時沈まないことが多いので、サンプリング時にアオコの発生が確認された場合は、原水を別に1本分多くサンプリングして、アオコの数だけ先に顕微鏡で数えてしまう。(定量の場合)
*:動物プランクトンの場合は、対象とするサンプルがミジンコなどの場合は、実体顕微鏡で観察しますが、ワムシやせん毛虫などが多い場合は、生物顕微鏡で植物と同じ要領で検境する。

沈澱量の計測

沈澱管(図の様な細いガラス管にメモリが書いて有るもの)に移し変え少なくとも24時間以上放置し、計測する。(沈澱量の測定等不要な場合は、上澄み液を除去後、濃縮サンプルとします。)

分析方法

1.定性分析

プランクトンの種類だけを顕微鏡で見て調べる方法です。これは、プランクトンの種類だけ調べ、多様度(種類の多さ)を比較します。

2.定量分析

生物の量(数や重さ)を調べる方法でいろいろな方法があります。

湿重量の計測

植物サンプルの場合は、あまり測定しません。
動物サンプルで一定量ネットを引いた場合に測ることは、ありますが、観察が終わってからでもかまいません。(前に測ると破損個体が増え分析しにくくなります。)